「墓じまいを考えているけれど、まとまったお金を用意するのが難しい」「見積もりを見たら、想定より負担が大きかった」と悩んでいませんか。
墓じまいのお金がないときは、すぐに借り入れを考えるのではなく、現在のお墓を返還する費用・新しい納骨先の費用・供養や手続きにかかる費用を分けて整理することが大切です。
墓地によって石材店の指定や返還条件が異なるほか、自治体や公営墓地によっては墓石撤去費などを支援する制度もあります。
この記事では、2026年9月時点で確認できる厚生労働省、e-Gov法令検索、自治体、国民生活センターなどの公的情報をもとに、墓じまいのお金がないときに確認したい方法を解説します。
この記事でわかること
- まず「現在のお墓」「改葬先」「供養・手続き」の3つに費用を分けて考える
- 石材店を探す前に、墓地管理者へ指定石材店や返還条件を確認する
- 自治体・公営墓地によっては、墓石撤去費などへの支援制度がある
- 遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合は、市町村長の改葬許可が必要
- 分割払いなどは、必要額と総支払額を確認してから検討する
墓じまいのお金がないときは費用を3つに分けて考える

墓じまいに必要なお金を「総額」だけで考えると、大きな負担に感じやすくなります。
まずは、何に費用がかかるのかを3つに分けて整理しましょう。
| 費用の区分 | 主な内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 現在のお墓 | 墓石・外柵・基礎などの撤去、運搬、処分、整地 | 墓所の返還条件、指定石材店、工事範囲 |
| 改葬先 | 墓地、納骨堂、永代供養墓、合葬墓など | 使用料、管理料、納骨方法、利用条件 |
| 供養・手続き | 改葬手続き、法要など | 自治体の手続き、墓地・寺院への確認事項 |
墓石撤去に必要な金額は、墓石や外柵の大きさ、基礎の状態、重機を搬入できるか、墓地側が求める原状回復の範囲などによって変わります。
そのため、「墓じまいには一律で○万円必要」と考えるのではなく、自分のお墓の条件で見積もりを取ることが重要です。
条件を見直せる費用と必要な手続きを分ける
| 分類 | 例 | 考え方 |
| 条件を比較できるもの | 改葬先、撤去工事の内容 | 利用条件と総額を確認する |
| 関係者と相談できるもの | 費用分担、供養方法、支払時期 | 家族・墓地管理者などと話し合う |
| 正式な手続きが必要なもの | 改葬許可、墓所返還 | 自治体・墓地のルールに沿って進める |
墓じまいのお金が足りないからといって必要な手続きを省くのではなく、選択できる部分を一つずつ見直すことが負担を整理するポイントです。

墓じまいのお金がないときに確認したい7つの方法
費用に不安があるときは、次の順番で確認すると状況を整理しやすくなります。
| 順番 | 確認すること | 主なポイント |
| 1 | 墓地管理者へ相談する | 返還条件・指定石材店 |
| 2 | 改葬先を検討する | 使用料・管理料・供養方法 |
| 3 | 撤去工事の見積もりを確認する | 作業範囲・追加料金 |
| 4 | 自治体制度を確認する | 対象者・申請時期・受付状況 |
| 5 | 家族・親族と相談する | 費用分担・今後の供養 |
| 6 | 寺院と相談する | 法要・離檀時の取り扱い |
| 7 | 支払方法を確認する | 分割可否・手数料・総支払額 |
1.最初に墓地管理者へ相談する
石材店へ問い合わせる前に、現在のお墓を管理している寺院・霊園などへ墓じまいを検討していることを伝えましょう。
特に確認したいのは、
- 撤去工事を依頼する石材店に指定があるか
- 墓石・外柵・基礎をどこまで撤去する必要があるか
- 墓所をどの状態まで戻せば返還できるか
の3点です。
国民生活センターは、公営墓地以外では提携石材店が指定されるケースがあると説明し、事前に見積もりを取り、不明点を確認して納得したうえで工事を依頼するよう案内しています。
墓地によってルールが異なるため、「相見積もりを取れるのか」も先に確認しておきましょう。
2.墓じまい後の納骨先を検討する
遺骨を現在のお墓から移す場合は、その後どこへ納めるのかを考える必要があります。
一般墓、納骨堂、永代供養墓、合葬・合祀型の墓地などがありますが、料金体系や管理方法、利用条件は施設ごとに異なります。
費用だけではなく、「これから家族がどのようにお参りしたいのか」という視点も含めて検討しましょう。
3.石材店を選べる場合は同じ条件で見積もりを確認する
墓地の規則上、複数の石材店へ依頼できる場合は、できるだけ同じ作業条件で見積もりを確認します。
たとえば、ある見積もりには基礎撤去や残土処分が含まれ、別の見積もりには含まれていなければ、合計金額だけでは比較できません。
「何をする工事なのか」「追加料金が発生する条件は何か」を確認してください。
4.自治体や公営墓地の支援制度を確認する
今回確認した公的情報では、浦安市や市川市のように、特定の公営墓地の返還を対象とした支援制度があります。
こうした制度は対象となる墓所・使用者・費用などが限定されているため、全国共通の制度として考えず、現在のお墓がある自治体や墓地の制度を個別に確認することが大切です。
5.家族・親族と費用分担を相談する
先祖代々のお墓など、複数の親族が関係する場合は、一人だけで費用を抱え込まず、家族・親族と相談してみましょう。
話し合う際は、
- なぜ墓じまいを検討しているのか
- 現在どのくらいの費用が見込まれているのか
- 今後どこへ納骨するのか
- 誰がどの費用を負担するのか
を整理すると話を進めやすくなります。
お金だけでなく、今後の供養についても認識をそろえておくことが大切です。
6.寺院墓地では寺院へ早めに相談する
寺院墓地の場合は、墓じまいや改葬だけでなく、法要や檀家を離れる際の取り扱いについて相談することがあります。
国民生活センターは、離檀料について「料金に明確な基準はない」とし、基本的には当事者間で話し合うことになると案内しています。
これまで供養をお願いしてきた寺院へ事情を伝え、必要な手続きや費用について確認しましょう。
7.一括払いが難しい場合は支払条件を確認する
事業者によっては、支払方法に選択肢が設けられている場合があります。
一括払いが難しい場合は、利用できる支払方法を確認してもよいでしょう。
ただし、分割払い・ローンなどを利用する場合は、毎月の支払額だけではなく、金利や手数料を含めた総支払額まで確認することが重要です。
墓じまいの改葬先は費用だけで決めない

墓じまい後の納骨先を考えるときは、料金だけでなく、遺骨の扱いやお参りの方法まで確認しましょう。
| 改葬先の例 | 主な特徴 | 確認したいこと |
| 一般墓 | 個別の墓所を利用 | 使用料、墓石、管理料、承継 |
| 納骨堂 | 建物内などに焼骨を収蔵 | 使用期間、管理料、更新条件 |
| 永代供養墓 | 管理者による供養・管理を行う形式 | 個別安置期間、供養方法 |
| 合葬・合祀型 | 複数の焼骨を共同で埋蔵する形式がある | 料金、遺骨の返還可否、参拝方法 |
特に、合葬・合祀後に遺骨を取り出せるかどうかは施設ごとに確認してください。
たとえば浦安市の合葬式墓地では、焼骨を20年間納骨壇で保管した後に合祀室へ埋蔵し、合祀室へ埋蔵した後は焼骨を返還できないと明記されています。これは浦安市の制度であり、すべての施設が同じ条件という意味ではありません。
将来、遺骨を別の場所へ移す可能性も含めて家族で確認しておきましょう。
自治体の墓じまい補助・墓所返還制度を確認する
墓じまいのお金がないときに確認したいのが、自治体や公営墓地独自の支援制度です。
ただし、制度がある場合でも、利用できる墓所や対象者、申請時期などに条件があります。
2026年9月時点で公式情報を確認できる例を見てみましょう。
| 自治体 | 制度の内容 | 2026年9月時点の状況 |
| 千葉県浦安市 | 対象墓所の原状回復費を上限15万円助成 | 公式サイトで制度を案内 |
| 千葉県市川市 | 一般墓地返還時の原状回復費等を助成 | 2026年5月22日に受付終了 |
浦安市は対象墓所の原状回復費を上限15万円助成
浦安市の「墓所返還者等支援事業」は、市墓地公園の通常墓所または小型墓所の使用許可を受けている方が対象です。
墓石撤去など返還区画の原状回復に要した費用について、墓所返還後に上限15万円の補助金を交付しています。
また、対象墓所に埋蔵している遺骨について、市の合葬式墓地の合祀室を改葬先として使用でき、対象となる場合は改葬先の使用料を負担せず墓所を返還できる制度も案内されています。
申請後、制度の適用可否について通知を受け、その後に改葬許可や墓所返還の手続きを進める流れです。
市川市は2026年度分の受付を終了
市川市では、市川市霊園の一般墓地を返還する場合に、使用料の一部返還や原状回復費用の助成を行う制度があります。
ただし、市川市公式サイトでは、2026年5月22日現在、使用料の還付および原状回復費用の助成は予算額に達したため受付終了と案内されています。
制度を見つけても「今も利用できる」とは限りません。
申し込みを考える場合は、
- 対象となる墓地
- 対象者
- 対象となる費用
- 補助額
- 申請のタイミング
- 現在の受付状況
まで確認してください。
葬祭扶助は一般的な墓じまい補助金として考えない
生活保護法第18条では、葬祭扶助の範囲として「検案」「死体の運搬」「火葬又は埋葬」「納骨その他葬祭のために必要なもの」が定められています。
一方、同条では既存墓石の撤去や墓所返還が独立した項目として列挙されていません。
そのため、葬祭扶助を一般的な「墓じまい費用の補助制度」として扱うのは避け、個別の費用が対象となるかは福祉事務所へ確認するのが適切です。
費用を見直しても省けない改葬手続き
現在のお墓から遺骨を取り出して、別の墳墓や納骨堂へ移す場合は「改葬」に該当します。
墓地、埋葬等に関する法律第5条では、改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならないと定められています。
改葬許可は現在遺骨がある場所の市町村へ申請する
同法第5条第2項では、改葬の許可は、死体または焼骨が現に存する地の市町村長が行うと定められています。
つまり、基本的には現在遺骨が納められている墓地・納骨堂の所在地を管轄する市区町村へ申請します。
改葬許可申請で法令上確認できる主な内容
現行の墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条では、申請書に「改葬の理由」「改葬の場所」などを記載し、所定の書類を添付することが定められています。
| 項目 | 法令上の主な内容 |
| 申請書 | 死亡者情報、埋葬・火葬場所、改葬理由、改葬場所など |
| 現在の墓地等の証明 | 管理者が作成した埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面 |
| 申請者が墓地使用者等ではない場合 | 墓地使用者等の承諾書等 |
| その他 | 市町村長が特に必要と認める書類 |
受入証明書は全国一律の法定添付書類ではない
インターネットでは「改葬には受入証明書が必要」と説明されることがあります。
しかし、現行施行規則第2条で全国共通の添付書類として列挙されている中に、「受入証明書」という名称の書類はありません。
一方で、同条には「その他市町村長が特に必要と認める書類」も規定されています。
自治体が受入先に関する書類などを求める場合があるため、実際の必要書類は申請先の自治体に確認してください。
墓じまいから改葬までの基本的な流れ
墓じまいを行う理由と、今後どのような供養を希望するかを整理します。
墓所返還の条件、指定石材店、必要な書類などを確認します。
改葬許可申請書には「改葬の場所」の記載が必要です。改葬先の利用条件も確認しておきましょう。
現在遺骨がある場所を管轄する市区町村へ申請します。
許可や墓地側の手続きを確認してから工事を進めます。
墓地・納骨堂など改葬先の手続きに沿って納骨します。
墓じまいの見積もりで確認したい7項目

墓じまいのお金がないときほど、見積書の「合計金額」だけを見るのは避けましょう。
同じ墓石撤去でも、どこまで作業に含まれているかによって内容が異なります。
| 確認項目 | チェックすること |
| 墓石・外柵 | どこまで撤去するのか |
| 基礎 | コンクリート基礎の撤去を含むか |
| 運搬・処分 | 石材・残土などの費用を含むか |
| 重機 | クレーンなどが必要な場合の費用 |
| 遺骨 | 取り出し作業を含むか |
| 整地 | 墓地側が求める返還状態まで行うか |
| 追加料金 | どのような場合に発生するか |
国民生活センターには、墓・葬儀サービスについて「価格やサービス内容について十分な説明がない」といった相談が寄せられています。2026年7月31日更新の情報でも、墓に関する相談件数や最近の事例が掲載されています。
契約前に、作業内容、支払総額、追加料金が発生する条件を書面で確認しましょう。
石材店へのお礼は工事費と分けて考える
石材店への支払いについて迷った場合は、まず見積書・契約書に記載された工事代金を確認しましょう。
工事代金とは別のお礼については、地域の慣習やこれまでの関係などによって考え方が異なります。
契約上必要な支払いと、任意のお礼を混同しないことが大切です。

墓じまいのお金がないときの分割払い・ローンの考え方
手元のお金だけでは支払いが難しい場合、事業者などが用意している支払方法を確認する選択肢もあります。
ただし、借り入れを利用する前に、まず必要額そのものを整理しましょう。
確認する順番は次のとおりです。
- 墓地の返還条件を確認する
- 改葬先の利用条件と費用を確認する
- 工事の見積もり内容を確認する
- 自治体などの支援制度を確認する
- 家族・親族との費用分担を相談する
- それでも不足する金額を把握する
分割払い・ローンを利用する場合は、金利・手数料・返済回数・総支払額を確認し、無理のない返済計画か検討してください。
特定の商品を利用することだけを前提にせず、まず墓じまいに必要な金額を確定させることが大切です。
墓じまいのお金がないときによくある質問【FAQ】
- 墓じまいのお金がない場合、自治体から補助金を受け取れますか?
-
自治体や公営墓地によっては、墓所返還や墓石撤去などへの支援制度を設けている場合があります。
たとえば浦安市には対象墓所の原状回復費を上限15万円助成する制度がありますが、対象となるのは市墓地公園の通常墓所・小型墓所の使用者などです。
一方、市川市では2026年度の対象制度が予算額に達し、2026年5月22日に受付を終了しています。
制度の有無だけでなく、対象条件と現在の受付状況を確認してください。
- 墓じまいの費用は親族で分担できますか?
-
家族・親族間で合意できる場合は、費用分担について話し合うことができます。
誰がいくら負担するかだけでなく、改葬先や今後のお参りについても一緒に決めておくとよいでしょう。
- 改葬許可はどこで申請しますか?
-
墓地、埋葬等に関する法律第5条第2項では、改葬許可は「死体又は焼骨の現に存する地」の市町村長が行うと定められています。
現在遺骨が納められている場所を管轄する自治体へ確認してください。
- 受入証明書はどの自治体でも必要ですか?
-
「受入証明書」という名称の書類が全国一律の法定添付書類として規定されているわけではありません。
ただし、市町村長が必要と認める追加書類を求めることができるため、申請先の自治体によって必要書類が異なる場合があります。
- 合祀を選べば墓じまい費用は安くなりますか?
-
施設ごとに料金や利用条件が異なるため、一律には判断できません。
また、共同で埋蔵した後は遺骨を返還できない施設もあります。
料金だけではなく、納骨方法や将来の遺骨の取り扱いも確認してください。
- 離檀料が高く、支払いが難しい場合はどうすればよいですか?
-
国民生活センターは、離檀料には明確な料金基準がなく、基本的には当事者間で話し合うことになると案内しています。
まず寺院へ金額の考え方を確認し、事情を伝えて話し合いましょう。
解決が難しい場合は、国民生活センターの案内にある消費者ホットライン「188」から、最寄りの消費生活センター等へ相談できます。
- お金が貯まるまで墓じまいを延期できますか?
-
墓地の使用規則、管理料の支払い状況、契約内容などによって対応は異なります。
一律に「延期しても問題ない」と判断せず、費用の準備に時間が必要な場合は墓地管理者へ事情を伝え、今後の手続きを確認しましょう。
【まとめ】墓じまいのお金がないときは必要額から順番に整理する
墓じまいのお金がないと感じても、「まとまった金額をすぐに用意しなければならない」と決めつける必要はありません。
まず、何にいくら必要なのかを分けて確認しましょう。
押さえておきたい5つのポイント
①墓地管理者への確認を最初に行う
指定石材店の有無や墓所の返還条件を確認すると、必要な工事内容が見えやすくなります。
②改葬先は料金だけで選ばない
使用料・管理料だけでなく、供養方法、個別安置期間、遺骨の返還可否なども確認しましょう。
③自治体制度は対象条件と受付状況を確認する
支援制度があっても、特定の公営墓地などに対象が限定されていることがあります。年度途中で受付を終了する場合もあります。
④改葬の行政手続きを確認する
遺骨を別の墓地・納骨堂へ移す場合は、市町村長の改葬許可が必要です。申請先や必要書類を自治体へ確認してください。
⑤借り入れを考える前に必要額を確定する
見積もり、改葬先、利用できる制度、親族との分担を確認したうえで、不足する金額を把握しましょう。
墓じまいを進める前の最終チェック
| チェック項目 | |
| □ | 家族・親族と今後の供養について相談した |
| □ | 墓地管理者へ返還条件を確認した |
| □ | 指定石材店の有無を確認した |
| □ | 改葬先の料金と利用条件を確認した |
| □ | 見積書の作業範囲と追加料金を確認した |
| □ | 自治体・公営墓地の支援制度を確認した |
| □ | 改葬許可の申請先と必要書類を確認した |
| □ | 分割払い等を利用する場合は総支払額を確認した |
結論
墓じまいのお金がないときに大切なのは、現在のお墓を返還する費用、改葬先の費用、供養や手続きにかかる費用を分け、一つずつ確認することです。
墓地の返還条件や改葬先、自治体の制度によって、必要となる費用や手続きは変わります。
また、墓じまいは単に墓石を撤去するための手続きではなく、これからどのように供養を続けていくのかを家族で考える機会でもあります。
費用だけを理由に結論を急がず、家族・親族、墓地管理者、必要に応じて寺院や自治体などへ相談しながら、自分たちに合った方法を検討していきましょう。
