No.032 2002/09 お仏具の知識/「履 物」のご案内 : 仏壇屋さんのメールマガジン
No.032 2002/09 お仏具の知識/「履 物」のご案内
法要や儀式で使用される履物に沓(くつ)と草履(ぞうり)の2種類があります。
また沓には 草鞋「そうかい(挿鞋)」と浅沓「あさぐつ」があります。
草鞋は木製金襴張りで内陣に出仕する時、または縁儀に際して用いることがあります。 浅沓は木製黒塗りで庭儀または葬儀に際して用います。いずれも通路を摺るようにして ゆるやかに歩みます。この2種の沓は、もとは公家社会で、束帯、衣冠、直衣、狩衣着用の際に使用するものが仏具として使用されています。
以下で由来等を細かく説明します。
草鞋、挿鞋の2字がある。現在、大谷派では「挿鞋」を使用、本願寺派では「草鞋」を 使用している。本来の文字は挿鞋である。
草鞋はわらじと読みます。わらじは皆さんご存知のわらの草履です。
わらじは古く奈良時代には「和良久豆(わらくつ)」と呼ばれ、漢字の草履の文字を充ていました。
当時の鞋(くつ)は短沓を意味し、その材料によって麻鞋、糸鞋、綿鞋、草鞋と区別され、草鞋は宮中の下級役人である衛士(えじ)の履物とされていました。
挿 鞋 有識故実大辞典によると、錦綾製挿し懸けの浅沓。殿舎、僧堂内での長上の履物、天皇の出御行幸に際して椅子着御のとき所用される。もとは皮履で外面に錦を張ったもので、正倉院にその元となった履がある。鎌倉時代の末期からは木質の浅沓と同形となり、ただ爪先に小さなつまみの座をすえ、赤地錦包みとするのが例となった。
大谷派には色に決まりがあります。
御門首様用・・・・・赤金襴
新門様用・・・・・本山ではピンク(薄 桃色)、一般寺院では赤金襴
上座三等・・・・薄茶ドンス
一般僧侶用・・・・水色(花田色)
浅 沓
有位の廷臣常用の履物の一種、足の爪先から甲につけて挿入するだけの浅い構造であるため浅沓といいます。 革製黒漆塗が次第に簡易に形式化し、桐製黒漆塗りの木履が普通となりました。浅沓と同形で甲の中央に2個の筋を設けたのを鼻高沓といいます。 浅沓の内側の足の甲に当たる部分を込(こみ)と呼んで、白の平絹の袋に綿を入れて差し込み、足の当たりを和らげるためとして沓の内底に沓敷を張り、この沓敷を包むきれ地によって所用者の地位を表示していました。きれ地に束帯の表袴の表地を用いたためであります。
昔は金剛草履といいました。大谷派寺院のお内陣で使用します。
くつ下のみまたはスリッパ履きは不可の為藺草履を履きます。ご参考までに西本願寺様のお内陣では、白足袋のみ可で、白足袋以外では不可です。
今日のような草履の源をなすものは、平安鎌倉時代のゲゲ、裏無、金剛、緒太、尻切などとよばれていたものです。金剛は二枚裏で、特に丈夫に出来ていたものを言い、葬式に履いてゆくのを金剛草履と言う所もあります。
緒太は緒の太いもので装束の時に履きます。指先の辺りを考慮して鼻緒を太くした事による名称で、儀式用には、緒太草履を使用します。
藺草履の鼻緒には、1つ鼻緒と、二つ鼻緒があります。
当社発行の「京仏具」に掲載の藺草履は、1つ鼻緒ですが、ご本山関係では、東本願寺様では、2つ鼻緒、大谷祖廟様では、1つ鼻緒を使用されています。
2つ鼻緒は靴下などの時でも履けますが、足の指で鼻緒をはさまないので、草履を持ち上げる事が出来ず差懸にして床を摺るように歩行します。2つ鼻緒の起源は,束帯着用の際は襪(しとうず)といってくつ下のような下ばきを使用しますので、1つ鼻緒の草履は使用出来ません。宮中では、御学問所から小御所出御の時の板敷廊下の部分だけを履くのを例としています。同じように西本願寺様ではお内陣以外の縁儀で御門主様及び新門様が1つ鼻緒の藺草履を使用されます。
藺草履によく似たようなもので、奈良東大寺二月堂のお水取りの行事に使用する、サシカケと板草履があります。
練行僧が指懸(サシカケ)という板草履を履き、礼拝しながら歩きます。このサシカケは堂内の陣の行法にパタンパタンと音をさせながら、これを合図に話をするので、松尾芭蕉はこのさまを、
水取りや篭りの僧の沓の音
と詠んでいます。サシカケは、松、欅、桧などの白木に畳裏を切りその上に張りつけ、端を黒布で縁取して黒い鼻緒を立てて、厚紙に胡粉を塗った帽子という爪掛を張りつけ、上部中央に練行僧の各自の定紋を描いた自製品でした。これとは別に、本堂へあがるときに履く板草履と言う藺草履の草履があって練行僧に履かれます。鼻緒は太く白紙を巻き、前緒のところに各僧の定紋を描いたもので、陣以外の堂内での行法に使われます。板草履の名はその台座が薄く、板のような感じなのでこのように呼ばれています。
株式会社小堀
商品部部長 和田三男
2002-09-01
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