2004/10/20 朝日新聞 鈴木君代さん[見てみて関西 旬の顔]

2004年(平成16年)10月20日 水曜日 朝日新聞 夕刊 [見てみて関西 旬の顔]

「あなたのままでいい」仏の教え歌う

鈴木君代&天白真央

京都市出身。大谷大学卒業後、東本願寺内の真宗大谷派宗務所に就職。10歳でギターを始め、大学時代は軽音楽部に。
命や愛をテーマに自作曲は50曲以上。
98年に自主CD「いのちの花を咲かせよう」を発表。近く2枚目のCDを出す予定。
ここは、岐阜県西部の農村。
秋風が吹く抜けるお寺の本堂に、涼やかな歌声が響く。
♪お坊さんにあこがれてお寺にはいったの/黒い衣姿に心引かれて
ギターをつまびく袈裟(けさ)姿。年配の女性ら約100人が耳を傾ける。真宗大谷派の信徒の集まりだ。
ふだんは同派本山・東本願寺に勤める僧侶。大学時代の友人と付きに数回、各地の寺に招かれコンサートを開く。月2回は、京都市内のライブハウスに立つ。もう数十年になる。
聴き入る真宗門徒たち
この日は、僧侶になったいきさつをユーモラスに描いた「お坊さんに憧れてお寺に入ったの」など自作曲のほか、「大きな古時計」「世界に一つだけの花」など2時間を歌いきった。合間に自身の恋愛体験や、「浄土真宗に厳しい修行はなく、『あなたはあなたのままでいい』と説きます」「」人生の苦しみは如来様の励まし」との教えも。
神妙な面持ちのお年寄りたちも、次第に身を乗り出し、体を揺らし、手拍子。
「お説教だと半数は寝とるが、今日は誰も寝とらんな」。最後は本堂が大きな拍手で包まれた。
寺とは元々縁がなかった。幼い頃、両親が離婚。おばに育てられた。学校ではいじめにもあった。精神的に落ち込んだ小学校6年の夏休み、奈良のお寺で過ごした。そこで、若い僧侶から「鳥も猫も虫も人間もみんな同じ命なんだよ」と聞いた。
「もうびっくり。励まされた。お坊さんだったら、私の悩みにこたえてくれるかもと思いました」

以来、学校の合間にお寺を巡り、説法に聴き入った。大学卒業後、東本願寺へ。翌年得度した。
ライブを始めたのは、寺に閉じこもらず、多くの人と触れ合おうと考えたから。「仏の教えを、聖典にはこうあると説くよりも、歌ならより身近に感じてもらえるかも」
かつて浄土真宗には、浪曲調の節回しでわかりやすく教えをうたう「節談(ふしだん)説教」の伝統があった。目指すは現代版「節談説教師」だ。
「誰もが自分らしくいられるように互いの違いを認め合おうよ、という思いを伝えていきたいんです」

(写真・吉村 功志/文・池田洋一郎)

 




2004-10-20
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