No.011 2000/08 京都の情報/「京都のお盆」について

今年もお盆がやって来ます。ご先祖さまを一緒にお迎えするご家族の帰省を待ちながら、
まずは仏壇をお掃除し、仏具を磨いてみませんか?お孫さん用の小さなお念珠も用意しましょうか。

京都 お盆の風景

1.睡蓮と蓮
  睡蓮 (water lily )


6月
 東本願寺の北東の辺り、お濠の水に一面に浮かぶ丸い葉に交じり可愛くすがすがし
い睡蓮の花が咲きはじめます。
睡蓮は古代エジプトの遺物の人物像の中にこの花を捧げている姿を見ます。
ナイルの水辺で年々昼前に咲き、夕方に閉じる様を太陽になぞらえたのではないかともいわれています。
日本の睡蓮も朝に開いて夕方に閉じるを3日間くらいくり返したあと、うつ伏して水中に沈みます。

7月
 東京では浅草寺の界隈で朝顔市が立ち、それを買い求める人々で賑わいます。そして間もなく関東のお盆がきます。
 この頃京都では右京区花園の法金剛院や山科区小野の勧修寺などの蓮池でも見事な蓮の花が咲きます。

   蓮  (lotus)
蓮は西アジア原産といわれています。7月頃に泥の中の根から柄がのびてきて、早朝に花が開き午後に閉じるを4日くらい繰り返してちります。緑色の花床の上 に蜂の巣のような穴があり雌蕊があります。雄蕊は花床の下の方にあります。花が散った後、穴の中に1個ずつ実が出来ます。その実の化石が何百万年前の遺跡 から発見されたことがあるそうです。

≠ワた約2000年休眠していた実が水中で再生して見事に大きな花を開かせたという事実があります。
 ジャータカ(お釈迦様前生譚)にその頃からインドの都市の内外に蓮の池があった事が記されているということです。また浄土教のお経の中に極楽浄土の池に 蓮が美しく咲いている様が説かれています。また如来の願に救われた人を蓮の花の開いた座に乗る様で表しています。
 はじめてお釈迦様の像が人のかたちで造られはじめたのは、1世紀頃と言われています。それ以前は尊いお釈迦様のお姿をありのままに現す事を畏れ、台座や 馬車や菩提樹などで表現していたそうです。その後色々の仏像が造られてきました。如来や菩薩の姿は開いた蓮の花床の上においでになります。数々の観音様の 中には蓮の蕾の柄を左手に持たれている像がよく見られます。この蕾の中に人を包み阿弥陀如来のおわす極楽浄土に運ぶと思われていたということです。浄土に 咲く花として様々の仏像や仏画のなかにあらわされてきました
 花が散ったあと、秋には地下茎の先に蓮根ができ春になるとまた新しい細長い地下茎が出てその節から花茎が伸びて大きい一輪の花を咲かせます。
 泥中にありながら永い年月を生きて毎年清らかな花を咲かせ、4日間も蕾と開花の様子を繰り返し見せてくれる蓮をみつめていた古代インドの人達の姿を想像します。

2.お盆の行事

 「お盆」この日本語に親しみを感じる人は多いと思われます。大人も子供たちもお盆の時期の家庭の行事に加わったり、その地方のお盆の行事を楽しんだりした経験をもつ人は多いと思います。
 幼いとき家族でお墓にまいり、亡きおじいちゃん、おばあちゃんの顔を頭に浮かべて合掌したこと、夏休みの終わり近くに関西で行われる地蔵盆に参加して近 所の子供達と福引きなどをして楽しんだことなどの思い出が、人が人を大切に思う温かい心の糧となって残っていくことを願われます。

 

8月
 宗派によりお盆の行事を始める日が違いますが、京都の五条通りを東山方面の寺々へ行き帰りする車で8月7日頃から混みはじめ、さらに8月13日頃から渋 滞が甚だしくなります。家族みんなでお墓にまいるにはやはり車が便利だし、どうしてもそういうことになってしまいます。
お盆の行事は殆どの地方で行われているでしょうが、地域毎に古くから引き継がれてきた様々な風習があり、また家毎にも受け継がれてきたやり方があると思 われます。そこで京都の風習に限ってお盆の人々の風景を記しました。もちろんそれでも各家毎の風習とは違う場合もありましょうが、一般的ということで少し でも参考になればと思います。

浄土真宗各派のお盆の行事は、浄土宗や他の各宗派と比較してそれほど決まり事はありませんので後に記載する事にします。
 

珍皇寺(ちんのうじ)の精霊迎え
 京都ではこの行事を「お精霊(おしょらい)さん」という方が多いようです。
平安時代 東山三十六峰の阿弥陀ヶ峰(鳥辺山)の麓の
鳥辺野(とりべの)*aは、嵯峨の化野(あだしの)*bと紫野の蓮台野と共に葬送の場所でした。このことは平安時代の文学にも出ているという事です。
 多くの人たちが昔変わらぬ習慣を行いにこの寺を訪れます。境内に小堂があり中に冥土に通じる井戸があります。人々は高野槙の枝を買い、堂の前の格子の中 央からでている紐を引いて鐘を鳴らします。その音が冥土に届き精霊を迎えられると思われていて精霊迎えの風習が生まれ今でもお盆前には堂の前に人の列が連 なります。
 各家では仏壇の前に盆棚をしつらえ野菜や果物のお供えを並べます。13日からは、仏膳を毎日お供えします。丁寧な家では、精進料理の種類がきまっていて毎日の朝・昼・夜と献立をかえます。
 お墓を掃除して家族でお参りします。お寺の盆法会にお詣りし、家にお坊様を迎え棚経をお願いします。

②京都の地蔵盆
 お地蔵様の信仰は平安時代からで今昔物語にあらわれています。六道の衆生を救う仏様として厚く信仰されていました。民間の賽の河原のお話から子供を救うと信じられていました。  

 いつの頃からかはわかりませんが、応仁の乱後かと思われますが、京都の町々には町内それぞれに小さな祠が造られていてお地蔵様がまつられています。
 8月16日のお盆の行事が終わり夏休みも残り少なくなってきた8月23日、24日頃に子供たちがお客の地蔵盆が各町内毎に行われます。

 町内の子供たちが集まれる場所のある家や当番に当たる家で、お地蔵様をまつり、幕を張り提灯等を飾りお供え物をします。世話役や当番に当たった方々が子 供達が喜んでくれるように心を砕いて準備をされます。1日目の朝にお寺様に読経をして頂きます。子供達やその親たち、世話役たちがお詣りします。小さい子 供が多いので前もって行事時間が知らされます。朝10時と午後3時にお八つがありお菓子の詰まった袋や西瓜、たこ焼きなどを頂きます。町内の子供達同士で ゲームなどをして過ごします。2日目の夕方に福引きがあります。楽しいけれど余り不公平にならないように心遣いがされています。
 新しい住宅地でお地蔵様がない町内でも子供たちのために地蔵盆をされるところが多いようです。京都の古いお寺には石仏が沢山あるところがあり、お地蔵様をお借りすることができます。なお、町内によっては、大日如来様がまつられています。その町内は地蔵盆を8月25日から26日頃に行われます。

③浄土真宗門徒のお盆

 2のお盆の行事の①には浄土宗やその他の宗派の方々がよく行われる行事を書きました。浄土真宗門徒の方々でもその地方の一般的な習慣に習ってお盆を過ごされることもあるでしょうが、本来の浄土真宗門徒のお盆の行事にはあまり地方色はないと言えます。
 家に先祖の精霊を迎えて色々のお供えをしたり、仏膳でご馳走を供えることはありません。先祖の霊を家に迎えて供養するということはないのです。
 お墓を掃除して家族でお詣りする。お寺の盆会にお詣りする。お仏壇をお掃除する。真鍮のお仏具をお磨きする等は各宗派の方々と同じですが、数々の野菜な どを並べ供えることはしません。お仏飯とお花と、華束に小餅を供えるだけでよいとされています。お仏壇に詣り「南無阿弥陀仏」を称える、それだけでよいと されています。また念仏の回数の多いことを尊ぶという事もありません。

 晩年の親鸞聖人のおそばに師事していた東国の若い唯円坊が日頃耳にした聖人のお言葉や、唯円自らの信心の疑問に対するお答え等を書き留めたという「歎異 抄」は多くの方々に読まれていると思います。その第一章に「他の善も要にあらず。念仏にまさるべき善なきが故に」とあります。
 日々の暮らしの中でお盆前の数日を忙しく先祖の霊に供養することが、終われば安堵の気持ちを得られるかなと思えます。でも唯円坊の疑問の中には、自分も そうだと思えるものがあり、そして聖人のお答えに心が安らぎます。歎異抄の第一章から第九章に聖人の心に響くお言葉が記されています。
 各家毎にお迎え火を焚く習慣はなく、また送り火は京都をとりまく五山で8月16日に行われる大文字です。いつの頃からか、かなり古くからと思われます。五つの山の麓に住む人達の奉仕で行なわれます。

④お盆の灯籠
 各家の手作りの行灯を夕方から点す町内もあります。又盆提灯を仏間に点される家もあります。
 浄土真宗寺院では本堂の余間に「切籠灯籠(きりことうろう)」という灯籠を吊られます。東本願寺のお盆は7月で両堂の両余間に大きなこの灯籠を盆会中吊られます。
 浄土真宗の家庭でも提灯ではなく同じ切籠灯籠の小型の物を仏間に吊られる家庭が多いようです。


a)鳥辺野(とりべの)

 平安時代の早い頃から葬送地として文学に物語に現われています。古くは阿弥陀ヶ峰(鳥辺山)の北の麓の辺りから南の麓の今熊野(いまくまの)のあたりまでの広い場所でした。豊国廟が造営されまた北には、大谷本廟が建立されて、その後その辺りでの火葬が禁止になり近世以後は狭くなったということです。

b)化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)

 京都市右京区嵯峨鳥居本化野町
現在は浄土宗 創建は平安時代早期で空海といわれています。中世法然が念仏道場として再興しました。ご本尊は阿弥陀如来坐像。化野は、
昔から京都の三つの葬送の地の一つでした。境内に付近から出土した小塔や小石仏が多く集められ、8月23日~24日の千灯供養は有名です。千灯供養の参加は予約制です。希望される方は往復はがきで早めの申し込みが必要です。


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