金封・水引・のし紙について

1.はじめに

書店で気付かれた方があるかと思いますが、家庭でのおつきあいや儀式の時の作法等の参考書が色々並べられています。戦後結婚によって新しい家を持つようになったことや、転勤等仕事上での人の移動が頻繁になったことで、付き合い方を親に教えてもらえない、親も違う土地の習慣はわからない等がこのような参考書への需要を引き起こしたと考えられます。

水引・のし紙について説明しようとして感じたことは、交通が非常に便利になって短時間で行来できるが、しきたりは地方の習慣が踏襲されているということです。一方各地方から人が集まってきている大都会では、参考書の通り行われ、市販の水引付きの金封やのし紙も需要に応じるようになったと考えられます。

2.のしと水引

熨斗(のし)の原形は平安中期に始まったと言われています。原形は「あわびのし」です。発生は平安時代中頃と言われています。現在でもあわびは高価なものですが、その頃は収穫が希少で更に珍しいものであったようです。それで朝廷でお祝事のあるとき海辺の領地から献上されたもののようです。

あわびは大変かたいので食べやすいように切ってのしたものを紙でまいたようです。このしきたりが一般に広まったのは江戸時代のようです。祝事のときにのしあわびを小さく切って奇麗な紙で巻き進物の金品のかざりとし祝う心を演出したのでしょう。今は本物のあわびの色・形の紙製品をかわりに使ったのしが市販されて専ら使われています。

水引も原形は熨斗の発生と同じ時代のようです。もとは貴族の間で贈り物をするとき包みが解けないように結んだ紐と言われています。何事も美しさを大切にする京の人々が包み紙や結び紐に工夫を加えたと思われます。一般に広まったのはやはり江戸時代のようです。昔から「こより」と言って細長く切った和紙を手で1~2mm位の太さに強く撚って紐状にして様々な用に使っていました。この『こより』を飾り結びできるように糊水を引き色を付けたりしたものとも言われています。

3.金封・水引・のし紙の色々
 
①慶事、結婚の場合
人生の最大の慶事で度々あることではないのでいざ自分自身の場合簡素になったとは云え大変です。結納などは特に 地方色が濃いので省きます。その地方の結納店等できかれると現在の色々なやり方なども聞けるかと思います。

水引は、結婚の場合一度きりという意味で「結び切り」、または「あわび結び」、色は主に「金銀」または「金赤」、用途により「紅白」。
のしは必ずつけます。


  『結び切り金銀』      『あわび結び金銀』  『あわび結び紅白』

二重包みにするときは上包みは縦に三つに折り後ろ側の上下の折り返しは上が内側になるようにします。

  ●表書  ・お祝をするとき    御結婚御祝
          ・媒酌人へお礼      壽      下は両家
        ・新郎新婦実家へお土産  壽      下は本人の名
        ・新郎新婦お披露目    壽      下は二人の名
        ・お祝のお返し     内祝又は壽   下は本人か家名  
        ・参列者交通費     紅白 御車料  下は家名
        ・当日の係の心付    紅白 御祝儀  下は家名

慶事の場合、お品物に掛ける紙の合わせ目は
上から見て左が外側になるようにします。

②その他の慶事
結婚の他に出産祝 入学祝 成人祝 新築祝 還暦・古稀・喜寿・傘寿・卒寿祝等の他に様々な祝ってあげたい慶事があります。

水引は『蝶結び』または『あわび結び』、『輪結び』等、色は「紅白」

 
  『蝶結び紅白』     『あわび結び紅白』      『輪結び紅白』

③御見舞
病気、怪我の御見舞の他に火事や天災の御見舞は相手の方が大変な状態です。
病気や怪我の全快は喜ばしいことでお礼と報告をかねて内祝いをします。
災難のときは返礼する必要はないとされています。一方、「陣中見舞」「楽屋見舞(発表会等)」「水屋見 舞(茶席)」等の晴の場合があります。

    ・病気見舞    水引は紅白  『結び切り』か『あわび結び』、のしなし
    ・全快内祝    水引は紅白   のしつき
    ・災害見舞    水引のしなし  白金封
    ・晴の時の御見舞 水引は紅白  『蝶結び』か『あわび結び』のし付

④葬式、年会
身内を失うことも人は必ず遭遇しなければならないことです。
この場合はまた仏式・神式・キリスト教等、その方がどの宗教なのかを知らねばなりません。

 ●葬式 仏式が一番多いと思われます。
 ・仏式 水引は一般に「黒白」、『結び切り』か『あわび結び』
  京都では普通「黄白」を使います。
  表書 「御仏前」が一般的、その他「御香典」「御香料」
  御香を供えるときは「御仏前」または「御香」

 ・神式、キリスト教、宗派がわからないとき  
  水引は「黒白」、表書は「御霊前」
  キリスト教は「御霊前」か「御花料」


『あわび結び黒白』   『あわび結び黄白』 『結び切り黄白』   『白無地』

●年会、法事
水引は「黒白」または「黄白」、『結び切り』か『あわび結び』。
表書は、仏式では「御仏前」「御香典」、花やお菓子は「御供」、その他は「御霊前」、キリスト教は「御花料」。
なお、金封を二重にするとき外包みの三折の後側の上下からの折り返しは下が内側になるようにします。
お返しのときの表書は、仏式は「忌明志」「満中陰志」「○○回忌志」等。 
仏式以外は「偲び草」とします。  


弔事の場合、お品物に掛ける紙の合わせ目は
上からみて右が外側になるようにします。

 

 

●水引は葬式以外は「双銀」でもよい。また、京都では昔から仏式の葬式の他法事にも「黄白」を使います。他、地方では売られていない場合もあるようですが持ち合わせがあれば使われてよいと思います。
黄色は一概には云えませんが「忌む」という意もあるそうです。表書は薄墨にします。

⑤お寺や神社とのかかわりの場合
身内を失うことを経験してはじめて寺や神社教会等と関わりをもつ方もあることでしょう。
そのとき儀式等をしてもらったお礼は一般の慶弔とは異なります。

・お寺や神社に色々の行事のお礼を包むとき水引やのしを付けず『白無地』にするのが正しいやり方です。
表書は仏事の場合、「上」「上納」「志」等に、どの行事のお礼か但し書きを書くのがよいと思います。
・神社も同様に『白無地』で包み、表書は「奉」「奉納」「祭祀料」等です。
お寺では礼金の額を決めておられないのが普通です。周りとの相談が必要でしょう。また大きい本山では願い事の礼金が決まっていることが多いです。本山に願い事をするときはご住職様に相談されるのがよいでしょう。

⑥お寺様の場合
お寺の家庭内のことは一般家庭と同様にしておられるように思います。
お寺の大きい法要のとき参詣者や寄進者に贈る記念品ののし紙は普通、水引型でなく赤一線だけでのしは付けられません。
また大きい法要を勤めるときは付き合いのあるお寺の住職様に読経の応援を頼まれますが、御法礼として本折りの白封筒を使われます。この白封筒は京都以外ではあまり販売されていないようです。京都は大変お寺や神社が多いからだと思われます。店によっては「表書(御布施)」と「水引(黄白)」を印刷した金封が販売されています。それは需要があるためでしょうが、水引なしにされるのがよろしいです。
また、お寺様間で葬式・年忌法要等にお供えされる時の金封の水引きは黄白で「御香資」「御尊前」とお書きする方がよろしいです。

4.おわりに  
戦前一般家庭での慶弔のお付き合いは、現金を贈ることは少なかったようです。慶事の場合ではたとえば、鯛や昆布、鰹を贈ったり品物の方が多かったようです。包み紙も美濃判という大きめの半紙を家庭で折ってつくっていました。従って半紙・水引は家庭の常備品でした。

今は半紙の折り方が判りにくいので便利な金封を買うことになります。当時はつきいあいも身近な範囲で時代がのんびりしていたのでしょう。色々の金封が大量生産されるようになりました。経済の豊かな時代を経験したからでしょう。スーパーや百貨店でもとりどりの金封が並べられています。一般的なことと、地域で多く行われていること、その家の以前からの習慣、伝統的なやり方などを知ってから、そのケースごとに選択されればよいと思います。

また、金額も決めにくいものです。多少地域の差もあります。経験のある身近な方に相談したり周りの方々に一般的なことを聞くことができればそのご意見も参考にするのがよろしいでしょう。


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