2004/03/18 ABCテレビ ニュースゆう 低迷する仏壇業界に登場した驚きの新戦略


ニュース ゆう

低迷する仏壇業界に登場した驚きの新戦略



3月18日(木)放送
古くから仏壇・仏具の製造が盛んな京都ですが、最近は長引く不況や輸入物におされ、低迷しています。この危機を乗り切ろうと老舗仏壇店がある試みを始めました。

■仏壇・仏具業界もIT化

3月8日、ITを駆使して業績を伸ばした企業の表彰式が行われました。
関西経済連合会が優秀賞に選んだ企業の中に、京都の老舗仏壇店がありました。
京都・東本願寺前。仏壇仏具店が集まる場所に、その店があります。
京仏具小堀。年商は、ピーク時に30億円ありましたが、不況などの影響で、ここ数年は2割近く減っています。
「何とかしなければ」。機械に弱かった小堀専務は、コンピュータを独学で学びました。夜通しマニュアルをめくる日々。
おととし、やっとの思いで仕組みを理解し、全く新しいサービスを思いついたのです。
「トヨタ自動車さんが、ブランド価値を高めるために工場を公開する。私どもは工房の公開で、京仏具のブランドを存続させようということです」(小堀さん)
小堀専務が始めたのは、制作の現場をインターネットで中継するサービスです。
仏壇・仏具の制作は、彫刻から漆塗り、金箔押しなど、工程毎に専門の職人が手作業で行っています。伝統工芸に賭ける職人たちの仕事振りを、より多くの人に見てもらいたい。
また、大切な仏壇の制作過程を見たいお客さんも多いはず。そんな思いで始めた工房の公開は、職人たちの意識も変えました。
【職人さんは・・・】
「やっぱり、慎重に。ひとつひとつ丁寧に仕上げていかないといけないと思います」
「伝統工芸を引き継いでいる形ですので、技術というものを見て頂ければ。まあ誇らしいことですけど」
小堀専務がITに活路を求めたのは、売上げ以外にも理由がありました。
「どこの販売店でも、デフレの時代で価格競争に走るんですよね。価格が低下していくと、販売店側が『高品質の京都の工房に発注する予算が無くなる』『京仏具の衰退に歯止めがかからなくなるのでは』といった危惧があります」
ここ数年は、中国や東南アジアで生産された安い仏壇が売上げの7割を占めていて、国産仏壇は窮地に立たされています。また、核家族化で仏壇離れが進んでいて、業界の市場規模は、ピークの頃と比べて3割も減っています。
■新しい生活スタイルにも対応

仏壇離れを止めようと、各社は生活スタイルの変化に合わせた都市型の仏壇を打ち出しました。フローリングにも置きやすい、インテリア家具のような仏壇が、団塊世代を中心に売れています。
「お寺さんとの繋がりが希薄になってきつつあり、好みの家具にあったもので仏壇が浮くのではなく、家具に馴染むようなものが売れてきている」(八木研直販本部 鳥山光里課長)
卓上に置くものや、壁掛けタイプまで。この都市型仏壇は、関西では売上げの2割を占め、従来仏壇を買わなかった客を取り込み、業界を活性化させています。
小堀でも、小型の仏壇を増やすなど、時代に対応しています。しかし、時代の先の先を見越した商品を開発していました。
(Q.これ何ですか?)
「未来のライフスタイルにご提案させて頂いてる仏壇でして・・・。電気を入れると立体的に浮かび上がってくる仏像、外側は金箔。デザインは斬新なんですが、使っている技術は伝統的な技術です」
■お客さんの反応は・・・

彼岸の入りの朝。小堀に仏具を注文したお寺に、檀家の人たちが集まりました。本尊を納める仏具の組立てが最終段階に入ったということで、住職が「インターネットで見てみよう」と呼びかけたのです。
「宮殿(くうでん)です」
「はあ〜」
「光林寺の宮殿です」
「はあ〜」
「立派になりましたなあ・・・」
(合掌・・・)
「なんまんだぶ・・・」
「ありがとうございました」
「行く先何年も安置するので、こういうものがどのようにして作られるのか、見ておきたかった」(住職)
包み隠さず公開することで、お金では得られなかった信用を得る。老舗仏壇店の挑戦は続きます。
「普段から、色んな業種で公開が広まると、消費者の信頼も高まり、消費も少しは元気になるんじゃないかなと、少しは思います。チャレンジをしているうちは、楽しくて仕方がないですね」
小堀では、去年の仏壇の売り上げが、7年振りに前年を上回ったそうです。
また、工房の公開で、寺院からの大口物件の受注が増えるなど、IT戦略の効果はてきめんに表れている、ということです。